京都は楽しい。
何度行っても、楽しすぎる。
日本の古典を読んでから京都に行くとさらに楽しい。
『源氏物語』、『平家物語』、『枕草子』、『徒然草』、『大鏡』、『方丈記』……。
街をぶらぶら歩いていても、古典に登場する数々の名所や地名をあちこちに発見することができる。
それにより、日本の歴史をより身近に、より立体的に感じるようになる。
たとえば『源氏物語』の主人公である光源氏が、瘧病(わらわやみ)の治療のため、北山の修験僧を訪ねるシーン。そこで一八歳の光源氏は一〇歳の若紫(紫の上)を見出すことになる。
では北山とはどのあたりにあり、都の中心からどのくらい離れているのか?
実際に、鞍馬寺や貴船神社に行けば、その距離も肌でわかってくる。
京都に何回か訪れ、バスに乗ったり、地下鉄に乗ったり、あるいは迷子になったりするうちに、脳内に鳥観図のようなものができてくる。道と道が繋がり、史跡の位置関係もわかってくる。そうなると今度は、精神的余裕が出てきて、地名の由来、神社仏閣の歴史、庭園や京料理の背後に流れている思想のようなものも気になってくる。
こうなると、ますます京都が楽しくなり、ハマっていく。
そして時間を見つけては京都に行くようになる。
私もそうだった。
初めて京都に行った中学校の修学旅行では「四条烏丸」を「よんじょうからすまる」と読み違えたが、少し大人になって古典に接するようになると、「あ、この寺は兼好法師の『徒然草』に出てきたな」と思ったり、あるいは寺の案内版に「平家物語ゆかりの地」などとあると、該当部分を探して詳しく読んでみたくなったりする。京都の旅を終え、自宅に戻ってからじっくり古典を読むのも楽しいものだ。
とはいえ、古典を読みこなすのはハードルが高いと感じる方もいるかもしれない。
そこで本書では、京都散策をより楽しむために、名所と古典をリンクさせ、私が感じた印象などをまとめてみた。
本書で紹介するのは、いずれも、古典を読んでいるうちに、どうしても私が行きたくなった場所である。そして実際に訪れてよかったと思う場所でもある。
この続きは、書籍でお楽しみください。
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